訪問販売のいけない理由

 私事ですが、うちにも昨年、訪問販売系リフォーム会社の若い営業マンが来ました。
建築業の看板を掲げた作業場に隣接している私の自宅にもかかわらず、気がつかなかったのか?それとも、そんなことはお構い無しなのか?または、なめられているのか?いずれにしても、たいした者です。
平日の昼間の出来事で、母が対応して業者名を覚えていましたので、その名前を聞き、キーワード検索してみたところ、なんと、この業者は知事から業務改善の勧告を受けている、お墨付きの悪い業者であることが、すぐにわかりました。

こんな感じで、うちにも営業を仕掛けて来るものがいる、という事は、一般のご家庭では「相当な頻度で来ているんだな」と、おおよそ察しはつきます。
ですから、皆様のなかには、日々の訪問にうんざりされている方・既に一度くらいは被害に遭ってしまった方・なかには、被害に遭ったこと自体に気がつかれていない方など、色々でしょうが、数多くいることと思います。

現実、私もお客様より、そのような報告を受けたりして、現場にてその件を確認してみることがよくありますが、その工事の内容を見れば、ほとんどが、ひどいものであります。
そして、そんなことがあるたびに、「なぜこのような業者に、仕事依頼をしてしまうのか?」と、いつも考えさせられてしまいます。
でも、その多くの理由は、お客様が「前々から気になっていたところ」または「緊急でどうしても」という心理にうまくつけこんだ(つけこまれた)という印象をうけます。

実例で紹介致しますと、以下のような感じです。(実際にこのような業者に遭遇したお客様からお話を伺って、私なりに再現してみました。)

外壁塗装工事の例  

業者:「こんにちは。今現在、この近所の○○さんで塗替え工事を行なっている○○○○と申します。今日はキャンペーンで、無料にて外壁塗替え工事の見積りをして廻っております」
(そして外壁を見て、ひび割れがある・外壁に白い粉が浮き出ている・このままほっておくと柱が腐る。などと指摘をする)

そしてその後に見積金額の提示がある

お客様:「へ〜結構かかるのね」

業者:「うちの塗料は○○○○という物で、特許を取得しており、また他社にはない○○○という工法を使って工事を行なっていますので丁寧で安心です。しかし今日はキャンペーン価格というこで、この金額よりあと20%お安くします」

お客様:「・・・」

業者:「あと、今回は塗替えをされている○○さんとご近所と言う事もあり、この地区のモニター工事ということで、今すぐご契約していただければ、今回は特別にあと10%引きの、全部で30%引きで結構です。いかがでしょうか?」

 お客様:「・・・そうね。お隣も昨年塗り替えたばかりだし、この辺でうちだけがなんか古く目立ってきたような感じもするから、うちもやってもらおうかしら」

業者:「はい。ではこの契約書に・・・」

 

2.耐震補強工事の例  

業者:「こんにちは。○○耐震協会の○○○○社と申します。現在この地区を中心に小屋裏の耐震チェックの検査をして廻っています。」(名札も協会名入りの立派な物をつけている)

 中略

お客様:「小屋裏の耐震性を無料でチェックしてくれるの?」

業者:「はい。小屋裏に入らせていただいて、すべて調べて参ります。」

 中略 (小屋裏に入った業者がビデオ撮影をして戻ってくる)

業者:「よくみてください。この部材とこの部材がくっついている、ココの部分ですが、金物が取り付けられていません」(ビデオを見せながら丁寧に説明を始める)

お客様:「んー」(そうなんだぁ)

業者:「この状態ですと地震が来たときに、横の力には耐えることが出来ますが、縦の力には耐えることが出来ませんので、外れてしまうことがあり、たいへん危険です。この様な場合には専用の耐震用金物で補強する必要があります」

お客様:「そうですか?!、でも、その工事はいくら位・・・」

業者:「はい。今、調べてきたところでは、全部で○○ヶ所に金物の取付が必要でしたので、費用は1ヵ所○千円で全部で○○万円になります」

 

3.屋根補修工事の例  

台風一過の日・・

業者:「こんにちは。今近くで、昨日の台風で、瓦を飛ばされたお宅の修理の帰りで、ちょうどこの横の道を車で走っていたら、お宅の瓦も一枚なくなっているのが見えたので、寄ってみました」

お客様:「えっ、気がつかなかったけど、何処ですか」

業者:「あそこの一枚です。この分だと他の部分もズレていると思いますので、点検してみましょうか?無料ですから。」(そそくさとハシゴをかけて上りだす)

業者:「だいぶズレていますね。そしてシックイも剥がれています。このままほっておきますと雨漏りがして屋根が腐ったり、また昨日のような風が吹くと、瓦が飛んで危険ですね。」

お客様:「そうですか・・・」(困ったなぁ)

業者:「漆喰の塗替えと、そしてわが社の瓦のズレを予防する○○○○工法という工事で、瓦の耐震性も高める事ができます。」

お客様:「いくら位かかるのですか」

業者:「これが見積です」

お客様:「えー!結構かかりますね。」

さあ、ここまで来るともう、この後はおわかりですね。同様に、キャンペーンやモニターとか特別といった言葉を使い分け、値引きして、契約を迫るといううパターンが簡単に予想できますよね。
そもそもこの場合、この屋根に上がる前から、頼んでもいないのに、見積もりは既に出来上がっているのです。そして、お客さんの反応を見ながら適当に、値引きをしたりして、契約を狙うのです。

 いかがでしょうか?無料とかキャンペーンという言葉を巧みに使って近づき「このままではいけない」というニュアンスで、不安をあおりながら値引きをチラつかせて、急いで契約に持って行くパターンが見て取れると思います。

しかしながら、なかには工事後でも被害に遭ったことに気がつかない(自分が被害者だとは思っていない)幸せな方もいたり、また、私も全ての訪問販売系リフォームを、把握しているのではないので、全てが悪質業者と、言い切ることだけは控えたいと思いますが、今までに見聞きして、調べた結果では、限りなく高い確立で、訪問販売系のリフォームは悪質でした。

 でもいったい、ただ悪質と言っても、これらのどこがいけないのでしょうか?また対処法などはどうすればよいのでしょうか?

今の事例を参考に、順を追って説明してみたいと思います。

1.外壁塗装工事

この場合では、目に余る部分は、一般の相場よりも工事代が高いという事です。
特許とか工法とかうたっておりますが、特別、変ったものでもありません。最初から付加価値が付いたような商品に見せかけ、ばか高い金額を提示しておき、キャンペーンとか割引とかで気を引くやり方は冷静になって考えれば、ミエミエですよね。また、ご近所のモニター工事と言っていますが、これも誰に対しても使っている手口と思われます。当然この営業マンも契約をする事だけが仕事ですから、あとはそのまま工事部隊にまかせきりになります。またその工事部隊も、その会社の利益を上げるために、思い切り値段を叩かれて雇われた、下請けや孫受けの職人さん達ですから、彼らの行なう工事内容は簡単に想像ができることと思います。
隣近所で工事をしていて、立派なシート看板が付いていると、つい安心して頼んでしまいがちですが、実はそのご近所さんも騙されているのです。こんな場合はやはり「今すぐ契約してくれれば・・・」と、いくらせかされても誰かに一度相談するなり、自分の家を建ててくれた大工さんとかに相談したりして、他の見積りも取ったりして一般的な相場を、確かめて決めることです。「ご近所の○○さんもやっているから」と、安心しないで、絶対に急いだ契約には応じない事です。

2.耐震補強工事

これはもう完全に、耐震診断の便乗商法です。公共機関からでも来た様な紛らわしい名札をつけ、実際に映したビデオを見せて、もっともらしい説明をして、不安をあおって、最終的には、金物の取付工事を狙った、典型的なパターンです。だいたい小屋裏に金物をいくら打ちつけても、建物本体の耐震性には、さほど大きなメリットとはなりません。地震に不安を感じている建築に無知な素人さんを狙った、あくどい商法です。もちろんこの営業マンもド素人に間違いありません。でなければこんなにも、ばかげた説明は出来ないからです。このお客様の場合は契約までしてしまってから相談を受けましたので、8日以内ということもありクーリングオフで対処いたしましたが、内容証明郵便で送る手間や、その他の気苦労が生まれますので、契約する前にしっかり検討してほしかったです。やはりこの場合も身近なプロに相談することが大事です。

3.屋根補修工事

これが、たいへん良くある屋根リフォーム営業の例です。
屋根は通常一般の方々が上って見る事が困難なので、このような業者には格好の餌食となりやすいです。(小屋裏や床下もです)
昨年(2005)は静岡では突風の被害が多かったので、その時期には、巷で屋根の上に乗っかっている、この輩を多く見かけました。また台風一過の朝に、ご近所を見渡していただくと分かると思いますが、早朝5時くらいにもかかわらず、どこから来るのか、もう被害物件をさがして、この輩とも思える人間が、下見をして廻っています。本当です(目つきや風貌で分かると思います。)

また、家の人が、上って確認しづらい屋根の上ということもあり、漆喰や、土が剥がれたり、流れている現状をポラロイド写真等で大きめに撮って、それを見せつけ、誇大な表現を使い、不安をあおるケースがよく見受けられます。
この場合の業者は屋根リフォームの専業といっても、ほとんどが瓦の葺ける瓦屋さんではありませんので、瓦が飛んで緊急だからといっても慌てて契約することなく慎重に対処するべきです。
私の考えでは屋根の修理は、やはり瓦の葺けるプロの瓦屋さんがやるべきだと思います。
また、その方が絶対に安くて上手く修理出来るはずです。

独自で名付けた、オリジナルの工法とかを持ち出して、屋根修理のプロみたいな事を言って営業をしている、この手の業者には、ほんとうに注意が必要です。

 では、この緊急を要する時、本当の瓦屋さん達は何をしているのでしょうか?
それは工務店や、お客様からの直接の緊急依頼の殺到で、同様の修理に追われて、忙しくて手がまわらない状況になっています。ですから修理の営業をするなんて、とんでもない話なのです。このところだけを考えても、台風の過ぎ去った日に突然訪問営業してきて、ホイホイと作業するのは、プロの瓦屋さんでは無い事はわかりますよね。本当に注意してください。
備考:瓦屋さんがなかなか修理に来られない時は一時的に応急処置を行ないます。注:自分でやるのは危険です。

以上、3つの実例から紹介いたしましたが、、いかがでしたか?一様にいえる事は、訪問販売の営業は、契約だけを狙っているということです。ですからどの訪販も同じようなプロセスで、急いで契約を取りたいという一面が見て取れます。

また、このような業者が悪いのは、前述の部分だけではありません。

適当な事を言い、過剰な工事を行なったり、自分の売りたいものだけを売り、その後のお客さんの事(建物の事)はまったく考えていないところが最も悪い部分でもあります。
ですから、私もその部分ではたいへん迷惑をしています。

例えば断熱性・防音性をセールス文句にうたった、既存外壁の上に、そのまま更に、外壁を張り込む外壁リフォームなどが良い例です。これらはその後に増改築、改装工事、(特に窓の取替など)を行なう場合に著しく支障をきたします。

一時的には外壁が新しくなり、建物が良くなったように見えますが、その後に改装工事を行なう場合には、はっきり言って、やらない方がマシともいえる工事かもしれません。(もったいないです)

ですから、気になっているところを、『今すぐ直したい』と言うお客様の気持ちは良くわかりますが、住宅リフォームでは、慎重に、近い将来を見据え、少し長い目でみて、建物全体を総合的に判断してから、先ずどこから直すべきなのか、構造面や予算面も含め、じっくりプロと相談しながら、計画を立てて、するべき仕事だと思います。

最後に・・

悪質訪販の被害に遭う人たちの多くが、高齢者です。特に、緊急性のある工事では、高齢者を狙ったほうが、確立が高いという側面があるからでしょう。これを防ぐには、もう周りの人の目しかありません。胡散臭い連中の行動は、普段から注意して見ていれば見抜けます。特に高齢者だけのご家庭には、ご近所の方が注意して見守ってあげる必要があると思います。

●ご自身の体験談や、他の事例等、ございましたら教えてください。
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